食事は楽しく安全に!高齢者の食事の基本

高齢になると、体の機能や状態によって、食事の内容も食べ方も変わります。健康を保つためには食事はとても大切です。いつまでも楽しく安全に食事をするために気を付けるべきポイントを紹介します。

栄養摂取のためだけではない?「食べる」ことの意味

「食べる」ことは、生きるためにとても大切なこと。普段食事を行っているときに意識をすることはあまりないですが、「食べる」ためには、全身の様々な機能が総動員されているのです。具体的には、食べることにより下記のような動作がなされています。

食べるために「手を動かす」

食事をするとき、はしやフォーク・スプーンを手で持ち、食べ物をつかみ、口まで運びます。このような一連の動作は、指・腕がうまく連動しなければ行うことができません。
手は「外部の脳」「第2の脳」とも呼ばれ、指先を動かすことは、脳にたくさんの刺激が伝わると言われています。食事をするために指・手を動かすことは、脳にも良い影響を与えることができるのです。

咀嚼(そしゃく)をする

きちんと「噛んで食べる」ことは、老化防止作用の一つとしても大切と言われています。食べ物には、かたい・やわらかい、熱い・冷たい、など様々な特質があり、様々な刺激を口の中で受けることができます。口の中で咀嚼をして食べることで、脳の中枢機能を活性化させることが明らかになっています。また、このように刺激を受けることは、食べる楽しみ・喜びにもつながります。

消化・吸収をする

食べ物は、胃や腸によって栄養として身体に取り込めるように消化されます。消化されたものが血液やリンパ液中に取り込まれ吸収をされます。これらは、口から入り、食道・胃・小腸・大腸を通って行われます。食べたものを栄養として身体に取り込むためには、消化器官と呼ばれる胃・膵臓(すい臓)・十二指腸・肝臓・小腸・大腸などの器官が総動員で動いているのです。

このように食べることの目的は、栄養摂取がメインではありますが、脳や感情にも良い刺激にもなっています。できる限り、手や指を自分で動かし、口の中で咀嚼して食べることが大切です。

栄養バランスが大切!

噛む力・飲み込む力が弱くなると、食べやすさに気を取られ、栄養バランスは二の次になりがちです。特に高齢者は食が細くなる人も多いもの。栄養失調・低栄養にならないために、栄養バランスがとれた食事をとることが大切です。
理想の栄養バランスをそろえるコツは、3色の食材をとること。3色とは、主食の「黄」、主菜(メインのおかず)の「赤」、副菜となる「緑」です。

  • 主食は、ごはんやパン・麺類などの炭水化物(糖質)
  • 主菜は、肉や魚・卵・大豆などのたんぱく質
  • 副菜は、野菜やきのこ・海藻などのビタミンやミネラル・食物繊維
主食一皿、主菜一皿、副菜二皿を基本にすると良いでしょう。

 

三色食品群 ⇒詳しくは「栄養バランスの良い食事とは?3つの献立作りのポイント」をご覧ください。

毎日3食、全て栄養バランスが取れるほど良いことはありませんが、それはなかなか難しいもの。一食当たりのバランスが悪いからといってすぐに栄養バランスがくずれるわけではありません。
朝、野菜(副菜)が少なめになってしまったらお昼や夜に少し野菜(副菜)を多めにとったり、昨日はごはんや麺類(主食)に偏ってしまったというのであれば今日は魚(主菜)を多めにとったりするなど、1日や3~4日など一定期間を目安に栄養バランスが取れているかを意識してみましょう。

食べる機能に合わせましょう

噛む力や飲み込む力が衰えがちな高齢者は、食事の内容にも注意が必要です。特に飲み込む力が弱くなった人は、食べるものや、食べ方に注意をしないと、むせてしまったり、喉をつまらせてしまったりする場合もあります。
安心・安全に食事をするためには、お食事をする方の身体の状態に合わせた食事が大切です。 ⇒詳しくは「適切な介護食とは?介護食の種類と選び方のポイント」をご覧ください。

高齢者にとって食べにくい「食感」のキーワードは次のようなものです。

「ぼろぼろ」なもの

例えば、ひき肉やおから。これらはまとまりがなく、口の中でぼろぼろになってまとまりを作りにくいものです。口の中でばらばらになってしまうと飲み込みにくくなってしまいます。

「さらさら」なもの

お水・お茶など飲み物類にも注意が必要です。思いがけず喉までいってしまい、むせてしまう場合があります。

「ぱさぱさ」なもの

ゆでたまごの黄身や、パン、焼き芋など、口の中の水分が持ってかれてしまうものです。口の中の水分がなくなり、飲み込みにくくなります。

「ぺらぺら」なもの

海苔やウエハースなどくっつきやすいものです。高齢者に限らず、このようなものを食べると、上あごにぺったりくっつき食べにくい経験をしたことがある人も多いでしょう。口の中やのどにくっつきやすいものは特に注意が必要です。

高齢者にとって食べにくいもの ソフト食やペースト食にするほどではなくても、高齢者にとってどのようなものが食べにくいかを知っておくことは大切です。まずは、ぼろぼろ・さらさら・ぱさぱさ・ぺらぺらなものには注意を払うと良いでしょう。

楽しく食べる工夫をしましょう

噛みにくい・飲み込みにくいなど食べづらさを感じると、食事の楽しみも減り、場合によっては苦痛になってしまう場合もあります。
食事の内容が、普通食からソフト食やペースト食、制限食になってしまうと、食感を楽しめず、美味しさや味のバリエーションも減ってしまったりすることもあるでしょう。
食事の内容は変えられなくても、環境や見せ方に工夫をすれば、食事を楽しくさせることはできます。ここでは食事を楽しくするための3つの方法を紹介します。

家族や友人と一緒に食べる

一人でもくもくと食べるときと、家族や知人と食べるときでは美味しさは変わります。
食卓を囲む人が増えるほど、会話が生まれて楽しくなり、食事も美味しく感じられるものです。
一人暮らしの場合は、たまに家族と一緒に食べる機会を設けてみてはいかがでしょうか。地域によっては、「ふれあい食事会」のような、決まった曜日や場所に集まって一緒に食事や交流をする機会を設けているところもあります。このような会に積極的に参加してみると良いでしょう。

明るい食卓を作る

カーテンを開けて自然の光を取り込む、食器やランチョンマットに気を配る、盛り付けを工夫する、など雰囲気つくりはとても大切。
暗くてどんよりした場所で毎食同じ食器を使って食事をするよりも、明るく空気のきれいな部屋で色んな食器が使われた食事では、食べるものは同じでも気分が変わります。食べる人の気分が少しでも上がるよう、明るさ・温度・食器・盛り付けに気を配ってみましょう。

上体を起こして食べる

身体の状況によっては、起きて食べることが難しい場合もあるでしょう。しかし、ソファなどに上体をもたせかけている状態では誤嚥が起こりやすくなります。
支えがあれば座ることができるようであれば、できるだけ上体を起こして食事を行うようにしましょう。寝たきりにならないためのリハビリにもなります。
また、上体を起こした状態では、目に見える景色も変わってきます。天井を見ているのがほとんどだったのが、視界が広がり、気分転換にもなるでしょう。

身体の機能が衰えてくると、食べる内容、食べ方、注意することなど食事全般に影響が出ます。場合によっては、思わぬ事故を引き起こしてしまう場合もあります。 いつまでも、楽しく・安全に・健康的な食事をするために、今回紹介した高齢者の食事の基本を頭の隅に置いておきましょう。

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