約4人に1人は糖尿病?高齢者糖尿病の特徴と治療時のポイント

糖尿病は誰もがなりうる病気ですが、年齢とともに「糖尿病が強く疑われる者」の割合は高くなります。高齢者の場合、年齢やもっている病気により健康状態が異なります。そのため個々に合わせた目標設定が大切です。ここでは、高齢者糖尿病の特徴や、その影響、食事療法・運動療法・薬物療法などの治療で気を付けるポイントを紹介します。

高齢者の糖尿病とは

平成28年の「国民健康・栄養調査」によると、「糖尿病が強く疑われる者」と「糖尿病の可能性を否定できない者」の推計人数はそれぞれ1,000万人とされています。糖尿病は 50 歳を超えると増えはじめます。60~69歳では男性21.8%・女性12.0%、70歳以上では男性23.2%・女性16.8%が糖尿病と見られています。

では、高齢者の糖尿病は、若い人の糖尿病と違いはあるのでしょうか?
診断基準は年齢によって変わりませんが、症状の出方に特徴があります。
高齢者の糖尿病の特徴は主に次の2つです。

  • ・症状が進行していることに気が付きにくい

    もともと糖尿病は自覚症状が出にくいものです。初期に見られやすい症状として、喉が渇く、疲れやすい、体重が減るなどがあります(詳しくは「糖尿病は発症したら完全には治らない?糖尿病の恐ろしさとは」をご覧ください。)。
    しかし、高齢になると喉の渇きも感じにくかったり、疲れやすさも年齢のせいだと見過ごしてしまったりしがちです。症状は進行しているにも関わらず、それに気が付かず重症化してしまうこともあるのです。

  • ・食後高血糖が起こりやすい

    食後の血糖値は誰でも高くなりますが、健康な人はインスリンの働きによって正常な状態に戻ります。しかし、糖尿病の人は食後2時間が過ぎても血糖値が高い状態が続いてしまいます。 高齢者の糖尿病患者の場合、この「食後高血糖」の頻度が高いと言われています。空腹時の血糖値が正常でも食後の血糖値が高い場合があるので、糖尿病が疑われる場合には、ブドウ糖負荷試験をして、きちんと糖尿病かどうかを診断することが大切です。

高齢者が糖尿病になりやすい理由

ではなぜ、高齢者は糖尿病になりやすいのでしょうか? それは、加齢による原因が大きいとされています。

加齢にともない、身体の様々な機能は低下します。それは、血糖値を一定に保つために必要なインスリンの分泌についても同様です。加齢によって、インスリンの分泌量が減少するとともに、筋肉量や活動量の低下によりインスリンが効きづらくなってしまうのです。
これらの理由から、血液中のブドウ糖(血糖)を体内に取り込むことができずに、「高血糖」状態になり、結果として糖尿病を持つ人が多くなります。


 

高齢者糖尿病による影響

糖尿病そのものは命を脅かすような病気ではありません。しかし、糖尿病が危険因子となる病気は多くあります。特に、高齢者の場合、糖尿病に加えて加齢や他の疾患により、影響が大きいと言われています。 ここでは糖尿病が危険因子となる、3つの影響を紹介します。

  • ・糖尿病の合併症が進みやすい

    糖尿病の合併症として、年齢に関わらず糖尿病神経障害・糖尿病網膜症・糖尿病性腎症などの細小血管症、壊疽・脳梗塞・虚血性心疾患などの大血管症を注意しなければいけません。 高齢者の場合、糖尿病に加えて身体機能の低下や他の疾患などが原因で、合併症が進みやすいと言われています。もともと糖尿病は自覚症状が出にくいもの。高齢者はさらに年齢のせいにして見過ごしがちになります。それにより糖尿病の合併症がかなり進んでしまう可能性があるのです。

  • ・認知症になる可能性が高くなる

    九州大学が中心となって行っている久山町研究によると、認知症の中でも、アルツハイマー病や血管性認知症の発症リスクが高いとされています。
    アルツハイマー病は、糖尿病の人は健康な人の2.1倍、糖負荷試験で分かる食後の高血糖の人は1.6倍発症のリスクが高いとされています。血管性認知症は、糖尿病の人は1.8倍リスクが高いとされています。 糖尿病は高血糖状態が続くため、血液がドロドロな状態となりつまりやすくなります。脳内の血管がつまることが、血管性認知症を発症する引き金となってしまうのです。
    また、アルツハイマー病の発症率を高める原因は、インスリン分解酵素が不足するためと言われています。人の体内には、インスリン分解酵素が存在し、これはアルツハイマー病の原因物質も分解する力を持っています。糖尿病の人は、このインスリン分解酵素が不足しているため、アルツハイマー病の原因物質も分解できずに結果として発症率を高めてしまうのです。

  • ・老年症候群のリスク因子となる。

    老年症候群とは、医師の診察や治療、介護を必要とする身体的・精神的な症状や疾患の総称です。主な症状として、認知症やうつ、骨粗しょう症、転倒などがあげられます。
    高齢者糖尿病患者は、糖尿病でない人と比べて、この老年症候群が約2倍多いとされています。
    もともと老年症候群は加齢にともなう筋肉量の低下や内臓脂肪の増加、末梢神経機能の低下などが原因です。高齢者糖尿病の場合は、インスリンの働きの低下、血糖コントロール、細小血管症、大血管障害などの影響が加わることで老年症候群のリスクを高めてしまうのです。

高齢者糖尿病の治療

高齢者の糖尿病の治療方法も、「食事療法」「運動療法」「薬物療法」の3つです。 ただし、若い人よりもそれぞれの治療で注意すべきことがあります。

「食事療法」で気を付けるべきこと

高齢者であっても、糖尿病の治療として食事療法は有用です。 食事療法は、次の3つがポイントです。
  • 1. 適切なエネルギー量の食事をすること
  • 2. 1日3食、規則正しく食事をすること
  • 3. 栄養バランスの良い食事をすること

高齢者の場合、長年慣れ親しんできた食事の習慣を変えにくかったり、残してしまうともったいないと必要以上の量を食べてしまったりする傾向が見られます。バランスよく栄養を配分するために食品交換表を使うことを推奨されていても、なかなか使いこなせない場合も多くなります。
また、「食事だけが楽しみなので、好きなものを食べたい」という人もいるでしょう。そのような方に、血糖コントロールのために厳しい制限をかけてしまうと、ストレスになりうつやフレイルを引き起こしてしまう可能性もあります。治療方法は、個人個人の身体状態や精神状態に合わせて行っていくことが大切です。

「運動療法」で気を付けるべきこと

運動療法は、血糖値の改善だけでなく日常生活動作の維持やサルコペニアの予防にも役に立ちます。(サルコペニアに関して詳しくはこちら「放っておくと要介護状態にも?サルコペニアの見分け方と予防方法
ただし、必ずしも誰もが運動を推奨されているわけではありません。高齢者は心肺機能の低下や関節・膝の形の変形がみられることがあります。その状態で、運動での負荷をかけすぎると、狭心症や関節炎など別の疾患を引き起こしてしまう可能性があるのです。
必ず運動をする前に、医師に相談して適切な運動量を指導してもらうようにしましょう。
そのうえで、下記の3つのことには特に気をつけながら運動を習慣づけると良いでしょう。

  • ・こまめに水分補給をして脱水症や熱中症を防ぐ
  • ・低血糖に備えてブドウ糖や飴を携帯する
  • ・運動を始める前に準備運動、終了後には整理体操を行う

治療のために行う運動がかえって怪我や別の疾病を引き起こしてしまう危険性もあるのです。
運動を行う場合には、健康状態に合わせて適切な内容で行うようにしましょう。

「薬物療法」で気を付けるべきこと

薬物療法で第一に気を付けるべきことは「低血糖リスク」です。
低血糖とは、血液中のブドウ糖が少なくなった状態のことを指します。
血糖値が70mg/dL未満になると、冷や汗や動悸、手足の震えなどの症状があらわれ、さらに低下すると意識混濁や昏睡、最悪の場合死に至ることもあります。
高齢者の場合、薬を排出する働きの低下により、薬が体内に蓄積しやすくなります。その状態で血糖値を下げる薬を服用すると、薬の効果が想定以上となってしまい、血糖値を下げすぎてしまう可能性があるのです。 また、糖尿病以外の疾病で服用している薬との飲み合わせにより、血糖値を下げてしまう場合もあります。
薬物療法を行う際には、主治医に相談をして、もともと服用している薬との飲み合わせの確認や、量の調整を行うようにしましょう。
★「低血糖」について詳しくはこちら「低血糖も危険!低血糖の症状と適切な対処方法

高齢者の糖尿病治療で気を付けるべきポイント

高齢者の場合、健康状態の個人差が大きかったり、体調の変化が激しかったりします。 そのため、一律の目標で血糖コントロールをすることは難しくなります。
年齢、糖尿病の状態、他疾患の有無や状態・重症度、日常生活機能、精神機能や心理状態、経済的状態などを加味したうえで、個々に合わせた目標設定を行うようにしましょう。
場合によっては、糖尿病の治療自体がQOL(生活の質:精神面を含めた生活全体の豊かさ)低下につながる可能性もあります。QOLとのバランスを考えながら、治療を進めていくようにしましょう。

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監修

  • 監修:鈴木久美子(管理栄養士)
  • 株式会社メディカルフーズ(宅配療養食専門「食と健康社」)
  • 給食提供会社での勤務、病院での栄養指導、人工透析クリニックでの人工透析食の献立作りなどの経験を経て、平成18年にメディカルフーズを設立。腎臓病食や糖尿病食を中心とした手作りの療養食の献立監修を行う。

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