糖質過多と認知症のリスク
糖質過多は肥満だけでなく、高血圧や脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病だけでなく、アルツハイマー型認知症の発症にも深い関係があることをご存知でしょうか。糖質過多と認知症がどのような関係があるか紹介します。
糖質過多と認知症の関係
昭和の時代にくらべれば、パスタやピザ、菓子パン、スイーツなど炭水化物の種類が増えました。いままでこんなに多種多様な糖質過多の食事の時代は、なかったのではないでしょうか。
近年は白砂糖や白米など、血糖値を上げやすい精製された糖も多く、糖質の質を変えてみたり、糖質の摂り過ぎに気をつけたりしている方も多いと思います。
糖質の多い食事を摂ると、血液中のブドウ糖濃度、つまり血糖値が急激に上がり、バランスを取るために、すい臓からインスリンというホルモンが分泌されます。インスリンは血管の外に糖を出して血糖値を下げてくれますが、外に出た糖の多くは脂肪細胞に取り込まれ、中性脂肪に変わってしまいます。脂肪組織で脂肪が合成されるのを促進したり、脂肪の分解を抑制するこの働きが、インスリンが「肥満ホルモン」と呼ばれるところです。最近は肥満だけでなく高血圧、脂質異常症、糖尿病などの生活習慣病や、アルツハイマー型認知症の発症と深い関係があるといわれています。
糖尿病と認知症
高齢糖尿病患者では認知症の合併が多いことが明らかになっています。血糖値が高い状態を長い間そのままにしておくと、脳の神経細胞がダメージを受けやすいそうです。
さきほど出てきたように、インスリンが血糖の働きをコントロールしています。しかし、食べ過ぎや運動不足などの悪い生活習慣を続けていると、インスリンが不足、働きが衰えるなど血糖の働きをコントロールすることができにくくなっていきます。
インスリンの働きは、血糖のコントロールをするだけでなく、 神経細胞の働きをサポートする
アルツハイマー型認知症の患者の脳には「老人斑」というシミのようなものがたくさんあります。老人斑には「アミロイドβ」という物質がたまっていて、このアミロイドβが増えることで脳の神経細胞が障害を受け、細胞が死んでいくと考えられています。
インスリンは、インスリン分解酵素の働きにより分解されて、このとき認知症の原因とされる「アミロイドβ」という物質も分解してくれます。糖質過多の食事だと、血糖をコントロールするためインスリン分泌量が増え、インスリン分解酵素はインスリンの分解を優先、「アミロイドβ」の分解をすることができなくなってしまいます。つまり、「アミロイドβ」は分解されずたまることに…。
高齢者の約4人に1人が認知症の人・又はその予備群
アミロイドβは、認知症の症状が発症する20年ぐらいまえから、脳内にたまりはじめると考えられています。高齢者の約4人に1人が認知症の人・又はその予備群、なかでも最も多いアルツハイマー型認知症が、脳の糖尿病と言われる研究者もいらっしゃいますので、せめて40代からは、糖質の摂り過ぎに注意し、適量の摂取を心がけたいものです。
監修
管理栄養士 麻生れいみ
- 管理栄養士・低糖質(ローカーボ)料理研究家・機能性食品研究家・機能性料理研究家・高齢者栄養研究家。日本栄養・食糧学会、日本静脈経腸栄養学会、日本抗加齢医学会会員、食育栄養インストラクター、「食から健康に協会」代表。
- ・管理栄養士 麻生れいみオフィシャルブログ
- ・食から健康に協会
大手出版会社の編集・ライターを経て、服部栄養専門学校栄養士科卒業。企業の特定保健指導・栄養相談を務める傍ら、病院の臨床研究において栄養療法を監修。医療と予防医学、栄養学を深く結びつける役割を担うべく、料理研究を行う。ダイエット指導においては、自らもやせた経験を基に、これまで約6000人以上に指導。その他、飲食店メニュー開発、調理指導、フードコーディネート、講演等、活動は多岐にわたる。著書に『作りおきでやせぐせがつく糖質オフバイブル』(主婦の友社)、『20kgやせた!10分ごはん』(宝島社)、『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)、『脂肪と疲労をためるジェットコースター血糖の恐怖』(講談社)、『免疫栄養ケトン食でがんに勝つレシピ』(光文社)など多数。
出版書籍のご紹介
【「ごはん」は最後に食べなさい】
- 「麻生式ロカボダイエット」で、テレビでも話題の管理栄養士・麻生れいみさんの最新刊
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- ・単行本(ソフトカバー): 144ページ
- ・出版社: マガジンハウス (2018/11/22)
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- ・単行本(ソフトカバー): 128ページ
- ・出版社: 光文社 (2018/10/17)