健康的な体づくりに!「D活」のすすめ

ビタミンDは骨の材料となるカルシウムを体内に取り込みやすくする栄養素。不足すると、骨密度低下が起きやすく、骨粗しょう症や骨折のリスクが高くなります。ビタミンDはどのような働きをするのか、またうまく摂取するための方法を紹介します。

D活のすすめ、ビタミンDは高齢者に必要な栄養素

ビタミンDは魚やきのこなどの食材やサプリメントなどから経口摂取する方法と、紫外線にあたることで皮膚から生成される方法の2つの方法で体内に取り入れられます。
ビタミンDは骨強化に関わる栄養素としてよく知られています。ビタミンDが足りなければ、カルシウム吸収が弱くなり骨粗鬆症のリスクが高まります。

今、ビタミンDはそれだけでなく、強力なホルモンとして体内の遺伝子発現を調節することで、免疫力を上げる、糖尿病や認知症やがんなどの病気のリスクを減らす、インフルエンザ予防や花粉症などアレルギー予防、妊娠しやすさとも関わること。定期的なビタミンD摂取は、筋力とアスリートの競技パフォーマンスを向上させるなど、その働きが多岐にわたることが解明されてきて、世界で最も注目のビタミンです。

クララもビタミンD不足?!だった

ビタミンDは肝臓と腎臓を経て活性型ビタミンDに変わり、主に体内の機能性たんぱく質の働きを活性化させることで、さまざまな作用を及ぼします。ビタミンDは、骨の材料となるカルシウムを体内に取り込みやすくする栄養素。日光を浴びると皮膚でコレステロールを原料として合成されます。
子どもの骨形成に異常が起こる、くる病。物語ハイジのクララのかかっていたのは、くる病だった可能性が高いと考えられています。物語の時代は産業革命、工場から出る噴煙で太陽光が遮られ、昼間でも薄暗かったようです。アルプスへ移住したクララは、直射日光をふんだんに浴び、ビタミンDとカルシウムたっぷりのヤギの乳やチーズなどの乳製品を食べ、平地など無いアルプス山中でのリハビリで立てるようになるというお話しでした。

成人では骨軟化症が知られています。ビタミンD不足が続く高齢者や閉経後の女性では骨密度低下が起きやすく、骨粗鬆症や骨折のリスクが高くなります。
また、小腸でのカルシウムとリンの腸管吸収を促進させ、血中カルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉の収縮などを正常に行う働きもあります。

ビタミンDは免疫調整ホルモン

ビタミンD

ビタミンDは、免疫系を正常に働かせるために必要な栄養素であるということがわかってきました。ビタミンDは、免疫系のT細胞にとって不可欠な情報伝達経路のカギとなる重要な成分です。ビタミンDはT細胞の成熟にかかわってるため、ビタミンDが不足すると免疫系に異常が起きやすくなるといわれています。体内で生成され、免疫バランスを整えたり、代謝機能を高めたりなど、各組織の働きを調節する役割のビタミンD。ビタミンの働きとしてだけでなく、ホルモンに匹敵するほどの重要な役割を持っています。

ビタミンDの働き

  • ・現在、すでに心筋梗塞や大腸ガン、ぜんそくやアトピーなどアレルギーと、さまざまな症状とビタミンDとの関係性を探る研究が、世界中で進められてる。
  • ・最近では、腎臓や骨、腸管、さらに、筋肉や神経、心臓など、体内のほとんどの組織で、ビタミンDを受け入れる細胞(受容体)が見つかっている。
  • ・2008 年に行った臨床試験で、小中学生のふたつのグループのうち、一方はビタミンDを3~4か月間摂取し、もう一方は摂取なし。結果、摂取したグループは18人(10.8%)が発症、しなかったグループは31人(18.6%)が発症。ビタミンDを摂取しないと、インフルエンザの発症リスクがおよそ2倍になった。

とたくさんの研究があり注目度がわかります。

ビタミンD、現代人は不足している

昨今は肌を焼かない、外では遊ばないなど、日本人も太陽から遠くなっています。
特に若い世代では、魚の摂取量が少なかったり、過度な紫外線対策の影響などがあり、ビタミンD不足の割合が高いとされています。外での行動量が低下した成長期にある小さな子どものビタミンD不足も言われています。 太陽光線を浴びる目安としては、冬期以外は1日5~10分、紫外線が少ない冬は1日合計60分程。適度に浴びてビタミンDを生成することが大切です。
ランチに出かける際の行き帰りは、腕や足に日焼け止めを塗らずに紫外線を浴び、どうしても焼けたくないなら、手のひらを太陽に向けるだけでも、少量のビタミンDが生成できます。

また、高齢者では、皮膚におけるビタミンD産生能力が低下することに加え、屋外での活動量減少により、通常よりも多くのビタミンDを食事から摂取する必要があることが指摘されています。

ビタミンDは紫外線が大切

D活おすすめ食品

ビタミンDが豊富に含まれているのは、魚類と魚卵、きのこ類、卵類。
肉類や野菜、穀類にはほとんど含まれていません。
また、ビタミンDは熱に強く、焼く、煮る、揚げるといった調理をしても、ほとんど分解されません。ビタミンDは脂溶性なので、炒めたり、ナッツ類と一緒に食べたり、ドレッシングをかけたりと、油と一緒に摂ることで吸収がアップします。
魚は、紅鮭やさんま、さばなどの脂肪分の多い魚にビタミンD が多く含まれます。缶詰や加工食品でも栄養価が、ほとんど変わらないのが忙しい人には嬉しいですね。
また、干したきのこなどは機械乾燥ではなく天日干しの方がビタミンDが多いです。最近は機械乾燥きのこが多いので注意しましょう。天日干しは旨み成分もたっぷりなので気をつけて購入したいものです。
もし機械乾燥きのこを購入しても、かさの裏を干して紫外線に当てると、ビタミンDの摂取量を増やすことができます。

干ししいたけ

冬の太陽光の少ないヨーロッパでは子供を含め、おもにサプリメントでビタミンDの摂取を推奨して疾病予防を積極的にすすめています。
ビタミンDの量を表す単位で覚えておきたいのは、μg(マイクログラム:1gの10万分の1)と、IU(アイユー:1IU=0.025μg)。日本人の食事摂取基準(2015年版)では、成人の耐用上限量100μg(4000IU)です。サプリは各メーカーの、使用摂取量を参考に摂取しましょう。
しかしなかなかサプリメントというと、飲むのが苦手、手が出ないという方も多いのではないでしょうか。ビタミンD入り卵、ビタミンD入り豆乳、ビタミンD入りオイルなど機能性のある食品が販売されています。オイルなら手軽にかけるだけで摂取できますので、いつもの食事に取り入れやすいですね。ドレッシングのようにサラダにかけるのはもちろん、カルシウムと一緒にビタミンDをとることで相乗効果が高まりますので、魚や納豆、豆腐に小さじ1杯かけたり、味噌汁や牛乳に小さじ1杯いれるのもいいでしょう。
いつもの食事から、健康的な体づくりをする「D活」をおすすめします。

監修

管理栄養士 麻生れいみ

大手出版会社の編集・ライターを経て、服部栄養専門学校栄養士科卒業。企業の特定保健指導・栄養相談を務める傍ら、病院の臨床研究において栄養療法を監修。医療と予防医学、栄養学を深く結びつける役割を担うべく、料理研究を行う。ダイエット指導においては、自らもやせた経験を基に、これまで約6000人以上に指導。その他、飲食店メニュー開発、調理指導、フードコーディネート、講演等、活動は多岐にわたる。著書に『作りおきでやせぐせがつく糖質オフバイブル』(主婦の友社)、『20kgやせた!10分ごはん』(宝島社)、『麻生れいみ式ロカボダイエット』(ワニブックス)、『脂肪と疲労をためるジェットコースター血糖の恐怖』(講談社)、『免疫栄養ケトン食でがんに勝つレシピ』(光文社)など多数。

出版書籍のご紹介

【「ごはん」は最後に食べなさい】

  • 「麻生式ロカボダイエット」で、テレビでも話題の管理栄養士・麻生れいみさんの最新刊
  • 「デニッシュより、クロワッサン」「ショートケーキより、バニラアイス」など、血糖値をあげない食べ方を分かりやすい比較で紹介しています。
  • ・単行本(ソフトカバー): 144ページ
  • ・出版社: マガジンハウス (2018/11/22)
 

【ボケないレシピ】

  • 「麻生式ロカボダイエット」で、テレビでも話題の管理栄養士・麻生れいみさんの最新刊
  • 今日の食事が、明日の脳を作る!!食生活に気を付ければ、認知症は遠ざけられる!脳の血管を守り、修復するための栄養成分を多く含んだ食材&調理法を紹介。
  • ・単行本(ソフトカバー): 128ページ
  • ・出版社: 光文社 (2018/10/17)
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