【高齢者の食事摂取基準】8つの基準とコツを紹介

食事摂取基準とは、食事の量や栄養素が足りているかどうかを判断する際に指標となるガイドラインのことです。食事量が少ないと、栄養の不足や偏りが生じ、心身にさまざまな症状となって現れます。とくに高齢者は食が進みにくいため、摂取すべき食事や栄養をしっかりと摂れるように管理することが大切です。

■この記事でわかること

  • ・高齢者の食事摂取基準とは
  • ・高齢者の栄養素別の食事摂取基準
  • ・食事摂取基準に沿った食事提供をするためには
 

高齢者の食事摂取基準を理解したうえで、日々の食事に活かしていきましょう。

高齢者の食事摂取基準とは

食事摂取基準とは、健康な人を対象として、健康の維持・増進を図るために必要なエネルギー量や栄養素の摂取量の基準を示したガイドラインのことです。

5年ごとに改定されており、2024年3月現在は「2020年版」が最新です。

高齢者は対象特性の一つとして取りあげられており、若く健康な人とは異なる基準が設けられています。また、食事摂取制限は「絶対」の基準ではないことを理解しておきましょう。

食事摂取制限の対象者と、基本的考え方について解説していきます。

対象となる高齢者

高齢者の場合、フレイル(健康な状態と要介護状態の間の段階)に近い状態の人でも、おおむね自立した生活を送れているのであれば、食事摂取基準の対象となります。

フレイルには世界で統一された基準はありません。加齢によって心身が「①健康な状態と介護が必要な状態の中間の状態にあること」と、「②危険な状態、重度な障がいを有する」という2つの考え方がありますが、食事摂取制限においては「①」の状態が対象です。

つまり、要介護状態の方は食事摂取基準の対象ではありません。要介護状態の方は、食事摂取制限も参考にしつつ、医師や管理栄養士からのアドバイスのもと、身体状況に合わせた食事提供が必要です。

また、食事摂取基準は以下の体格を基準として算出されています。

【基準となる体格】

  男性 女性
65~74歳 75歳以上 65~74歳 75歳以上
身長 165.2 160.8 152.0 52.1
体重 65.0 59.6 52.1 48.8
 

基本的な考え方

厚生労働省によると、食事摂取基準はあくまでガイドラインであって、絶対的指標ではありません。

各人のエネルギーや栄養素の必要量を実測し、その人にとって必要とされる望ましい摂取量を導き出すことは不可能である。必要量を測定しなくても、個人や集団の習慣的摂取量が、どのくらいの可能性(確率)で、適切なエネルギー量や必要とされる栄養素量を充足しているのか、あるいは不足しているのかを知ることができるようにしたのが食事摂取基準である。

食事摂取基準は、エネルギーや栄養素の摂取量が適切かどうかの評価を行い、食事計画を行うための参考となる値である。あくまでも参考となる値ではあるが、実施する評価や食事計画がより確固としてものに近づけるよう、その策定においては科学的根拠に基づくことを基本としている。

引用:Ⅱ 食事摂取基準の活用の基本的考え方について|厚生労働省

 

上記のように、人によって必要なエネルギー量や栄養素が異なるため、絶対的なものとはいえないのです。とはいえ、実際に食事量の評価や改善を行う際は、指標が必要になるため、ガイドラインが役に立つでしょう。

なお、食事摂取制限の栄養素の部分で出てくる用語の意味は、以下の通りです。

言葉 食事摂取制限における意味
推定平均必要量 その数値を摂取すれば、特定の集団における50%の者が必要量を満たせる量のこと
推奨量 その数値を摂取すれば、特定の集団における97~98%の者が必要量を満たせる量のこと
目安量 その数値を摂取すれば、栄養不足による不足状態が起きない量のこと
※十分な科学的根拠がなく「推定平均必要量」として示せない場合に使われる
耐容上限量 健康障害を引き起こすリスクが無い摂取量の上限のこと
※その数値を超えて摂取をすると健康障害を引き起こすリスクが高い
目標量 生活習慣病の発生予防を目的として、現在の日本人が当面の目標にすべき摂取量のこと
 

監修者コメント

栄養摂取基準は絶対的なものではないものの、目安として取り入れることが推奨されています。対象となる高齢者ではない場合も、参考値として捉えておくと良いでしょう。

高齢者の食事摂取基準とは

下表は、高齢者の食事摂取基準一覧です。フレイル予防を目的として、たんぱく質やビタミンDなどの目標値の下限値が引き上げられています。

  男性 女性
エネルギー量
(kcal)
【65~74歳】
  • ・身体活動レベル1:2,050
  • ・身体活動レベル2:2,400
  • ・身体活動レベル3:2,750
【75歳以上】
  • ・身体活動レベル1:1,800
  • ・身体活動レベル2:2,100
  • ・身体活動レベル3:-
【65~74歳】
  • ・身体活動レベル1:1,550
  • ・身体活動レベル2:1,850
  • ・身体活動レベル3:2,100

【75歳以上】
  • ・身体活動レベル1:1,400
  • ・身体活動レベル2:1,650
  • ・身体活動レベル3:-
炭水化物
(% エネルギー)
【65~74歳】
  • ・目安量:50~65
  • ・目標量:50~65
【75歳以上】
  • ・目安量:50~65
  • ・目標量:50~65
【65~74歳】
  • ・目安量:50~65
  • ・目標量:50~65
【75歳以上】
  • ・目安量:50~65
  • ・目標量:50~65
脂質
(% エネルギー)
【65~74歳】
  • ・目安量:20~30/li>
  • ・目標量:20~30
【75歳以上】
  • ・目安量:20~30
  • ・目標量:20~30
【65~74歳】
  • ・目安量:20~30
  • ・目標量:20~30
【75歳以上】
  • ・目安量:20~30
  • ・目標量:20~30
たんぱく質
(g/日)
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:50
  • ・推奨量:60
  • ・目標量:15~20
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:50
  • ・推奨量:60
  • ・目標量:15~20
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:40
  • ・推奨量:50
  • ・目標量:15~20
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:40
  • ・推奨量:50
  • ・目標量:15~20/li>
ビタミンD
(日)
【65歳以上】
  • ・目安量:8.5µg
【65歳以上】
  • ・目安量:8.5µg
ビタミンC
(mg/日)
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:80
  • ・推奨量:100
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:80
  • ・推奨量:100
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:80
  • ・推奨量:100
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:80
  • ・推奨量:100
カルシウム
(mg/日)
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:600
  • ・推奨量:750
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:600
  • ・推奨量:700
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:550
  • ・推奨量:650
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:550
  • ・推奨量:600
カルシウム
(mg/日)
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:600
  • ・推奨量:750
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:600
  • ・推奨量:700
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:550
  • ・推奨量:650
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:550
  • ・推奨量:600
ナトリウム
(mg/日)
『』は食塩相当量(g/日)
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:600『1.5』
  • ・目標量:『7.5未満』
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:600『1.5』
  • ・目標量:『7.5未満』
【65~74歳】
  • ・推定平均必要量:600『1.5』
  • ・目標量:『6.5未満』
【75歳以上】
  • ・推定平均必要量:600『1.5』
  • ・目標量:『6.5未満』
 

エネルギー量

■1日の推定エネルギー必要量
身体活動レベル▼ 男性 女性
65~74歳 75歳以上 65~74歳 75歳以上
レベル1 2,050 1,800 1,550 1,400
レベル2 2,400 2,100 1,850 1,650
レベル3 2,750 - 2,100 -
 

【身体活動レベル】

1(低い):生活の大半を座位で過ごし、静的な活動が中心。(75歳以上は自宅にいてもほとんど外出しない場合、高齢者施設でほぼ自立した状態で過ごす場合にも適用される)

2(普通):座位が中心だが、移動や立位での作業に従事、買い物や家事、軽い運動も含む。(75歳以上の自立している場合に該当する)

3(高い):移動や立位の多い仕事に従事者、もしくは活発な運動習慣を持っている。

 

エネルギー量の基準はレベル1~3に分けられます。寝たきりの人や、活動量が少ない場合はレベル1に該当します。

エネルギーは不足しても過剰に摂っても身体に悪影響を与えます。エネルギーの摂取不足は、痩せや低栄養に繋がります。高齢期の痩せや低栄養は、虚弱の原因となり、要介護状態や死亡のリスクを高めます。一方でエネルギーの摂り過ぎは肥満に繋がり、肥満は各種生活習慣病の原因となるため、注意しなくてはなりません。

食べ物のカロリーの目安は次のとおりです。主食、主菜、副菜などに分かれており、上にいくほどカロリーが高く、下にいくほどカロリーは低くなっています。献立を考える際に参考にしてみてください。

料理のカロリー表

引用:【料理のカロリー表】|水巻町民のための健康づくり推進協議会

 

なお、高齢者の食事量の詳細について知りたい方は、次の記事で解説していますので、そちらを読んでみてください。

高齢者の食事量の目安とは?3つの注意点・6つのポイントを紹介

炭水化物

■炭水化物の食事摂取基準/% エネルギー(アルコールを含む)

年齢▼ 男性 女性
目安量 目標量1 目安量 目標量1
65~74歳 50~65 50~65 50~65 50~65
75歳以上 50~65 50~65 50~65 50~65
 

耐容上限量:設定なし

炭水化物の重要な役割は、体内でブドウ糖に分解され、脳や神経組織、筋肉などのエネルギー源として利用されることです。

炭水化物が不足すると脳の働きが低下し、「判断力や注意力の低下」「疲労感」を引き起こすことがあります。また、体内の体脂肪やたんぱく質が分解されてエネルギー源として充当されてしまうため、筋肉の減少に繋がります。炭水化物は適量を摂ることが大切です。

ただし、過剰摂取した場合、エネルギーとして消費しきれずに余ったブドウ糖が中性脂肪として体内に蓄えられてしまい、肥満や生活習慣病を引き起こす原因になります。

「%エネルギー」とは、範囲に関して、おおむねの値を示したものです。なお、アルコールを含みますが、アルコールの摂取を勧めるものではありません。

糖質(%)=糖質(g)×4kcal/÷全体の摂取エネルギー(kcal)×100

糖質は体内で1gあたり約4kcalのエネルギーを作り出すため、糖質量に4kcalを乗じて、糖質が産生するエネルギー量を算出します。

脂質

■脂質の食事摂取基準/% エネルギー(アルコールを含む)

年齢▼ 男性 女性
目安量 目標量1 目安量 目標量1
65~74歳 20~30 20~30 20~30 20~30
75歳以上 20~30 20~30 20~30 20~30

耐容上限量:30% エネルギー

脂質は、エネルギー源としての役目だけでなく、ホルモンや細胞膜などの構成成分として重要な栄養素です。脂溶性ビタミンの吸収の促進、体温の保持、内臓の保護の役割があります。

脂肪には、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸があり、飽和脂肪酸の摂り過ぎには注意が必要です。肥満や高LDLコレステロール血症を招き、心筋梗塞などの発症リスクを高めてしまいます。

脂質の%エネルギーの計算式は、以下のとおりです。

脂質(%)=脂質(g)×9kcal/÷全体の摂取エネルギー(kcal)×100

以下は、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸が多く含まれている食材の一例です。

【飽和脂肪酸が多く含まれている食材】

  • ・牛脂
  • ・ラード
  • ・バター
  • ・マーガリン
  • ・チーズ
 

【不飽和脂肪酸が多く含まれている食材】

  • ・魚介類(まぐろ、鮭、さば さんまなど)
  • ・植物油(えごま油、アマニ油 など)
  • ・ナッツ類(アーモンド、ピスタチオ など)
 

たんぱく質

■たんぱく質の食事摂取基準/g(アルコールを含む)

年齢▼ 男性 女性
推定平均必要量 推奨量 目標量 推定平均必要量 推奨量 目標量
65~74歳 50 60 15~20 40 50 15~20
75歳以上 50 60 15~20 40 50 15~20

耐容上限量:設定なし

たんぱく質は、身体のあらゆる組織を作る材料になる栄養素です。食事から摂取したたんぱく質は分解されてアミノ酸となります。身体に吸収されると、筋肉や臓器、肌や髪、爪などの材料として使われるほか、ホルモンや代謝酵素、免疫物質などになり、さまざまな作用をもたらします。

高齢者は、活動量や食事量の低下により、たんぱく質の摂取量が減ってしまいます。たんぱく質不足は低栄養を招く原因となるため、日々の食事に積極的に取り入れましょう。

ただし、過剰摂取をすると腸内環境の悪化や尿路結石の原因になるなど、健康に影響を及ぼすことがあります。不足した場合も、筋力や免疫力の低下など、さまざまな不調の原因になり得ます。

【たんぱく質が多く含まれている食材】

  • ・肉類(鶏むね肉、豚ロース、牛肩、ソーセージ、ハム)
  • ・魚介類(ぶり、まだい、サバ缶、ツナ缶、魚肉ソーセージ、かまぼこ)
  • ・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト)
  • ・大豆製品(豆腐、納豆、豆乳)
  • ・卵
 

ビタミンD

■ビタミンDの目安量/日(日光による生成を含む)

65 歳以上 8.5µg

耐容上限量:100 µg/日(高齢者)

ビタミンDは、骨の成長や再構築、歯の発育促進に必要な栄養素です。また、腸管からのカルシウムとリンの吸収を促進し、血中カルシウム濃度を一定に調節することで、神経伝達や筋肉収縮などを正常に保つ働きがあります。

ビタミンDが不足すると、筋肉痛や筋力低下、骨の痛みを起こすことがあります。とくに高齢者はビタミンDの不足による骨折リスクが増加します。そのため、ビタミンDを適切に摂取することが、骨折やフレイルの予防に繋がります。

なお、ビタミンDは食品から摂取するだけでなく、日光に当たることでも、体内で生成できます。近所を散歩したり、日向ぼっこをしたりして日光に当たる習慣を作ることをおすすめします。

ただし、脂溶性ビタミンDは排出されにくいため、過剰に摂取すると、血液中のカルシウムやリンの濃度が上がります。これによって、腎臓や筋肉にカルシウムが沈着したり、軟組織の石灰化が起こったりします。

国立環境研究所と東京家政大学の研究チームによる調査によれば、5.5 μgのビタミンDを生成するのにかかる時間は、以下のとおりです

  7月(昼12時) 12月(昼12時)
札幌(北海道) 4.6分 76.4分
つくば(茨城県) 3.5分 22.4分
那覇(沖縄県) 2.9分 7.5分

参考:体内で必要とするビタミンD生成に要する日照時間の推定 -札幌の冬季にはつくばの3倍以上の日光浴が必要-|2013年度

【ビタミンDが多く含まれている食材】

  • ・魚介類(イワシ、サンマ、ぶり、しらす干し など)
  • ・きのこ類(干ししいたけ、きくらげ、エリンギ など)
  • ・乳製品(牛乳、チーズ)
  • ・卵
 

ビタミンC

■ビタミンCの食事摂取基準(mg/日)

年齢▼ 男性 女性
推定平均必要量 推奨量 目標量 推定平均必要量 推奨量 目標量
65~74歳 80 100 - 80 100 -
75歳以上 80 100 - 80 100 -

耐容上限量:設定なし

ビタミンCの役割は、肌のコラーゲンを合成し、肌にダメージを与える活性酵素を抑えて、肌荒れを防ぐことです。また、病気やストレスへの抵抗力を高めたり、鉄の吸収を良くしたりします。さらに、ビタミンCの強い抗酸化力は、活性酵素を除去し、生理機能と遺伝子レベルに作用し、老化を遅らせる効果が期待できるとされています。

野菜や果物を十分に摂っていない場合に起こるのが、ビタミン欠乏症です。疲労や筋力低下、易怒性(怒りっぽいこと)などが見られ、重度になると、壊血病と呼ばれ、あざができ、歯茎や歯のトラブル、毛髪や皮膚の乾燥、貧血といった症状が発生します。

ビタミンCを過剰に摂ったとしても、健康な人であれば重篤な副作用はありません。しかし、下痢や便秘、腹痛などの症状が現れることがある点には注意が必要です。

【ビタミンCが多く含まれている食材】

  • ・果物類(アセロラ、ゆず、キウイフルーツ、かき など)
  • ・野菜類(パプリカ、ブロッコリー、キャベツ など
 

カルシウム

■カルシウムの食事摂取基準(mg/日)

年齢▼ 男性 女性
推定平均必要量 推奨量 目標量 推定平均必要量 推奨量 目標量
65~74歳 600 750 - 550 650 -
75歳以上 600 700 - 550 600 -

耐容上限量:2,500mg

カルシウムは骨や歯を構成する成分であり、筋肉の収縮、細胞の分裂や分化、血液凝固作用の促進、神経興奮の抑制などの役割があります。

カルシウムが不足すると、歯や骨が弱くなり、骨折のリスクが高まります。また、筋肉の神経が過敏になり、けいれん、手指のしびれやうずきを引き起こすことがあります。

とくに高齢者は加齢とともに骨密度が減り、骨粗鬆症になりやすいです。予防の観点からも、積極的に摂取すべき栄養素だといえます。

逆に過剰摂取すると、高カルシウム血症や高カルシウム尿症、軟組織の石灰化、泌尿器系結石、前立腺がん、鉄や亜鉛などの吸収障害、便秘など、さまざまな健康障害が起こります。

【カルシウムが多く含まれている食材】

  • ・魚介類(イワシ、シシャモ、しらす干し など)
  • ・乳製品(牛乳、チーズ、ヨーグルト など)
  • ・大豆製品(生揚げ、木綿豆腐、納豆 など)
  • ・野菜類(青梗菜、小松菜 など)
 

ナトリウム

■ナトリウムの食事摂取基準(mg/日)、『』は食塩相当量(g/日)

年齢▼ 男性 女性
推定平均必要量 推奨量 目標量 推定平均必要量 推奨量 目標量
65~74歳 600
『1.5』
- 『7.5未満』 600
『1.5』
- 『6.5未満』
75歳以上 600
『1.5』
- 『7.5未満』 600
『1.5』
- 『6.5未満』

耐容上限量:設定なし(目標量を目安とする)

ナトリウムの役割は、カリウムと共に、体内の水分を保持しながら、細胞外液量や住管血液の量を維持し、血圧を調節することです。ほかにも、筋肉の収縮、神経の伝達、栄養素の吸収や輸送にも関与しています。

激しい運動による発汗などでナトリウムが欠乏すると、筋肉に痛みを生じるほか、脱水症状、嘔吐をともなう食欲不振、極度の疲労などの症状が表れる可能性があります。日々、食事で摂取しているので通常であれば、不足することはありません。

一方、ナトリウムの過剰摂取には注意が必要です。ナトリウムを取りすぎると短期的な反応としては、むくんだり、口の乾きを感じたりします。慢性的に過剰な状態が続くと、高血圧や胃がん、食道がんのリスクが高まります。

【ナトリウムが多く含まれている食材】

  • ・調味料(塩、みそ、醤油、ドレッシング など)
  • ・練り製品(ハム、ウインナー、かまぼこ など)
 

監修者コメント

高齢者は好みや食べやすさから食事に偏りが出るケースが多いです。いつも食べていないメニューにしてみたり、使用する食材を変えてみたりすることをおすすめします。不足を感じる栄養素があれば、それを多く含む食材を積極的に取り入れましょう。

高齢者の食事摂取基準に沿った食事を提供するために

高齢者の食事摂取基準に沿った食事を提供するために

食事摂取基準に沿った食事を作ることは、簡単ではありません。そこで、できるだけ作る人の負担を軽減し、栄養バランスの整ったご飯を作るためのポイントを2つ紹介します。

  1. 1.市販品を活用する
  2. 2.宅配食事サービスを利用する
 

市販品を活用する

介護食を一から調理するのは手間も時間もかかるため、市販品を上手に活用しましょう。市販品には、温めるだけで食べられる便利なおかずメニューが豊富です。おかずを一品加えたいときや、食事に変化をつけたいときに重宝します。

特定の栄養素が不足している場合も、市販品で手軽に食事のバランスを整えることが可能です。また、食事を作る方の負担軽減にも繋がります。

食事量が少なく3食で必要な栄養素を満たせない場合は、間食に栄養食品を取り入れて、不足分を補いましょう。

【市販品の活用例】

  • ・冷凍のカット野菜を使う(切る手間を省ける)
  • ・レトルトの介護食を使う(やわらかく、栄養バランスが良い))
  • ・栄養価の高い食品を取り入れる(納豆、納豆、卵豆腐、しらす、鮭フレーク など)
  • ・栄養食品を間食に取り入れる(シリアルバー、ゼリー、飲み物 など)
 

宅配食事サービスを利用する

宅配食事サービスとは、家に弁当や食事を届けてくれるサービスのことです。栄養バランスの整ったおいしいご飯が届くため、作る手間がかからないのがメリットです。管理栄養士が監修しているものが多く、エネルギーやたんぱく質の制限食を扱っているところもあります。

宅配食事サービスを探す際には、「シニアのあんしん相談室」がおすすめです。全国の宅配食事サービスを比較検討でき、気になるサービスは一括で資料請求することも可能です。お試しサービスを実施しているところもあるので、食べ比べしてから決めると良いでしょう。ぜひチェックしてみてください。

宅配食事を探す

 

そのほか、会食サービスや健康支援型配食サービスの利用もおすすめです。以下の記事でわかりやすく解説しているので、利用を検討している方は確認してみてください。

高齢者向けの食事サービスの種類4つ|選び方や探し方を解説

高齢者の食事摂取基準【まとめ】

高齢者が元気で暮らしていくためには、しっかりと食事から栄養を摂取することが大切です。とくにたんぱく質が豊富な食材を取り入れ、不足を防ぎましょう。

また、特に女性は骨粗鬆症予防のためにカルシウムの摂取が必要です。栄養素は過剰になっても不足しても良くありません。食事摂取基準を目安に、栄養バランスの取れた食事を用意しましょう。

自分で栄養バランスの取れた食事を用意するのが難しいという方は、宅配食事サービスの利用をおすすめします。「シニアのあんしん相談室」なら、全国の宅配食事サービスを比較検討でき、自分に合ったサービスを見つけられます。ぜひチェックしてみてください。

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監修者コメント

高齢者は食事量の不足から、栄養の偏りや不足が起こりやすいです。健康維持のためには、栄養素をバランス良く摂取する必要があります。

とくに筋肉量を保つためにたんぱく質の摂取、骨粗鬆症予防にカルシウム、貧血予防に鉄など、意識して摂取しましょう。

食事量は食事摂取基準が目安になります。元気な毎日は食事から始まります。高齢者の日々の暮らしを、過不足なく栄養のある食事でサポートしてあげてください。

監修

中山友子

中山友子

食品工場の品質管理にて、食品検査や分析業務を4年半担当しておりました。その後、病院や高齢者施設の厨房業務に2年半従事し、現在は食や健康のジャンルの記事を執筆する栄養士ライターとして活動しております。

その後、病院や高齢者施設の厨房業務に2年半従事し、現在は食や健康のジャンルの記事を執筆する栄養士ライターとして活動しております。

食の専門家として、食に関する知識や役立つ情報をお届けいたします。

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