外食で減塩をする5つのコツ|塩分の多いメニューや摂取目安を紹介

外食は味付けが濃いものも多く、どのくらい塩分が含まれているのか分からないため、減塩食を続ける方は利用してもいいのか迷うこともあるでしょう。とはいえ、人との付き合いで外食をせざるを得ない場面や、外食をしないとストレスが溜まることもあると思います。

■この記事でわかること

  • ・外食でも減塩はできるのか
  • ・人気の外食メニューに含まれる塩分量
  • ・外食時のポイント
 

外食でも減塩はできるが難しい

まず、外食だけで減塩するのは難しいと考えましょう。

加工食品やお弁当など、パッケージされた食品には、栄養表示が義務付けられています。栄養成分表示とは、食材や食品に含まれる「栄養素・エネルギー量」とその量を数値で分かりやすく示したものです。

栄養成分表示(1個〇g当たり)

画像引用:栄養成分表示(表示方法)|「食品衛生の窓」東京都保健医療局

 

しかし、一般的な飲食店では、栄養成分表示が義務付けられていません。同じ料理でも仕入れる食材によって塩分量が変わり、盛り付け量もまったく同じではないため、お店側でも正確な塩分量を把握しにくいためです。

とはいえ、塩分を気にしてまったく外食をしないのもストレスが溜まります。減塩は長く付き合っていくものだからこそ、ときには外食による息抜きも必要です。

 

人気の外食メニューの塩分量

外食と上手に付き合っていくには、主な外食メニューにどれくらいの塩分が含まれているのかを知っておく必要があります。

ここでは、よくある外食メニューが、1日の食塩相当量の摂取基準のうち、どの程度を占めているのかを紹介します。まずは1日あたりの食塩相当量の摂取基準を見ていきましょう。

<1日あたりの食塩相当量の摂取基準>※成人

男性・・・7.5g未満

女性・・・6.5g未満

※高血圧や慢性腎臓病の重症化を予防するための基準値は性別問わず「6g未満」

出典:日本人の食事摂取基準2020年版,エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2023,高血圧治療ガイドライン2019

なお、「WHO(世界保健機関)」による食塩相当量の基準値は5g未満となっており、日本人の食事摂取基準よりも厳しいものとなっています。しかし、日本人の食塩摂取量の平均は10.1gと基準値を大幅に超えているのが現状です。(出典:令和元年 国民健康・栄養調査結果の概要)

食塩摂取量を控えるために、食塩相当量の摂取基準を基に外食で「食べても問題ないもの」と「食べるのに工夫が必要なもの」の2つに分類しました。

 

嚥下食に適さない食品

食べにくいものや飲み込みにくい食品は、嚥下食には適しません。これらの食品を嚥下食に使用する際は、嚥下機能が低下した方でも安全に摂取できるように、食べやすく、 飲み込みやすくするための工夫が必要です。

■嚥下食に適さない食品

  メニュー別の塩分量 食塩相当量
食べても問題ないもの

※1日に3食食べる場合、残りの2食で調整がきくため
チャーハン 2.7g
天丼 2.8g
ハンバーガーセット
  • ・ハンバーガー1.5g
  • ・フライドポテト0.5g
  • ・チキンナゲット1.5g
3.5g
パスタ 3.5g
カレーライス 3.9g
食べるのに工夫が必要なもの

※例えば、スープを残すなど
ラーメン 5.6g
焼き魚定食
  • ・焼き魚(醤油)1.2g
  • ・味噌汁1.8g
  • ・切り干し大根1.0g
  • ・漬物1.5g
5.5g
中華定食
  • ・八宝菜2.0g
  • ・中華スープ1.3g
  • ・ザーサイ2.1g
5.4g
うどん 5.3g
とんかつ定食
  • ・とんかつ(下味0.8g・ソース1.5g)
  • ・味噌汁1.8g
  • ・漬物1.5g
5.1g

出典:外食でも上手に減塩!|東京金属事業健康保険組合

 

表を見ると分かるように、外食のメニューはかなり塩分摂取量が多くなっています。ただし、絶対に食べてはいけないわけではなく、食べ方を工夫すれば塩分摂取量を抑えられます。

食べ方のコツについては次章で詳しく説明します。

 

外食を取り入れながら減塩するコツと工夫

外食時に以下のような工夫をすることで、減塩が可能になります。

  • ・なるべく調味料は使わない
  • ・塩分の多いものは残す
  • ・セットでサラダを選ぶ・追加する
  • ・栄養成分表示のある飲食店を選ぶ
  • ・外食以外の食事で塩分量を調節する
 

【1】付属の調味料や卓上調味料はなるべく使わない

厚生労働省(※)によると、食事中に摂取する食塩の7割が調味料からとされています。そのため、なるべく調味料を追加しないことで塩分摂取量を抑えられます。

調味料ごとの食塩相当量は以下のとおりです。

調味料 小さじ1(5ml)あたりの食塩相当量※
食塩 5.9g
しょうゆ 0.9g
みそ 0.7g
和風ドレッシング 0.4g
トマトケチャップ 0.2g
マヨネーズ 0.1g
穀物酢 0g
 

もし調味料を使用する場合は、以下のような塩分を含まない調味料を選ぶとよいでしょう。

【塩分を含まない調味料の例】
  • ・お酢
  • ・レモン汁
  • ・コショウ
  • ・からし
  • ・わさび
  • ・ラー油
 

また、調味料は直接料理にかけず、小皿に出して少しずつつけて食べるなどの工夫をすると、塩分摂取量が控えられます。

出典:調味料の上手な使い方 | e-ヘルスネット(厚生労働省)

監修者コメント

お寿司屋さんで外食をする場合は、シャリに醤油を付けるよりもネタ部分に付けたほうが塩分摂取量を控えられます。

ほかにもそば屋さんを利用する場合は、たっぷりつゆにつけず、1/3~半分程度つけると塩分が控えられます。

 

【2】塩分の多いものは残す

以下のような塩分の多いものは、残す、あるいは最初から注文する回数を減らすなどの工夫をすることで、塩分摂取量を抑えられます。

塩分の多いもの
  • ・麺類のつゆ(ラーメン、うどん、そばなど)
  • ・漬物
  • ・汁物(味噌汁、すまし汁など)
  • ・パスタ
 

麺類の塩分の多くがつゆに含まれているため、飲まずに残しましょう。定食に付いてくる漬物や汁物も残した方が懸命です。「汁物に手を付けずに残すのはもったいない」と感じるときは、具材だけ食べるとよいでしょう。

パスタは茹でるときに食塩を使用し、ソースにも調味料を使用するため、食塩相当量が多くなります。そのため、パスタを食べる際は量を減らして、その分サラダなどのサイドメニューでカバーすると満足感が得られます。

監修者コメント

大盛を注文すると、量に比例して食塩摂取量も増えます。量が足りない場合は麺を増やすのではなく、白米など塩分が少ないサイドメニューを注文するとよいでしょう。

 

【3】セットでサラダを選ぶ・追加する

外食時は、サラダや野菜の小鉢を追加するのがおすすめです。野菜や果物などに多く含まれるカリウムは、余分なナトリウム(塩分)を排出する働きがあるため、普段から積極的に摂取するとよいでしょう。

例えばハンバーガーを食べる際は、セットをフライドポテトにせずサラダにすると良いでしょう。ただし、ドレッシングにも食塩が含まれるため、かける量には注意が必要です。マヨネーズが付いている場合は、ドレッシング代わりに利用すると塩分量を抑えられます。

 

【4】栄養成分表示のある飲食店を選ぶ

減塩が必要な方は、栄養成分表示のある飲食店を選ぶのもひとつの手段です。チェーン店では、メニュー表やホームページなどで食塩相当量が表示されている場合が多く、外食であっても塩分摂取量を把握することができます。

都道府県または市町村区によっては栄養成分表示のある飲食店を公開しているため、外食をするお店選びがしやすくなります。各自治体のホームページをチェックしてみましょう。

 

【5】外食以外の食事で塩分量を調節する

外食をする日は、それ以外の食事で塩分摂取量を調整しましょう。食塩相当量の目安量は1日単位であるため、外食で塩分を摂りすぎた場合は、それ以外の食事で調整をします。

例えばランチで外食をした日は、夕食のメニューは薄味にしたり、カリウムの多い食品を選んだりするとよいでしょう。

<塩分量を調整するための工夫例>
  • ・汁物を作らない
  • ・丼ものを作らない
  • ・ご飯にお供(漬物・佃煮など)をつけない)
  • ・食塩をあまり使わない食事を作る(朝食の例:トースト、オムレツ、サラダなど)
 

外食を取り入れながら上手く減塩に対応しよう【まとめ】

減塩が必要になったからといって、まったく外食をしないのも息が詰まります。減塩食とは長い付き合いになるため、外食をする際はポイントを押えて上手に付き合いましょう。

外食だけで減塩生活を送るのは難しいですが、「調味料は使わない」「塩分の多いものは残す」「サラダを付ける」「栄養成分表示のある店を選ぶ」「ほかの食事で調整する」などの工夫をすると、外食での塩分摂取量が控えられます。

ほかの食事で塩分摂取量の調整をする際は、栄養計算が難しい自炊よりも、あらかじめ塩分が決まっている宅配食を利用するのもおすすめです。塩分制限食を取り扱う宅配食業者は増えているため、きっと口に合う食事が見つかるでしょう。

「取り扱い業者が多くて選びにくい」「口コミを見て選びたい」と思ったときは、宅配食比較サイトである「シニアのあんしん相談室」を利用してはいかがでしょうか。全国の宅配食業者を比較でき、一括で資料請求できます。口コミ投稿も見られるので参考にしてください。

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監修者コメント

外食時に紹介したポイントを守れないこともあるはずです。だからといって、今まで積み重ねてきた減塩生活がムダになるわけではありません。

塩分を多く摂取しすぎた次の日から、また元の減塩生活を心掛けるようにしましょう。

 

監修

相田すみ子

相田すみ子

寮生の栄養管理、老人保健施設、内科・整形外科などで経験を積んだ後、フリーの管理栄養士兼ライターとして活動。

今日より少し健康になれるレシピを開発したり、体と栄養の関係について多くの人に伝えたりするために、コラム執筆、本の執筆協力などを行っている。

note:https://note.com/sumiko_16

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