無理なく減塩を行うための工夫15選!項目別に紹介

日本人の塩分摂取基準(※1)は男性7.5g未満、女性6.5g未満であり、高血圧や慢性腎臓病の重症化予防の基準値は男女ともに6.0g未満とより厳しい数値になっています。 しかし、2019年の「国民健康・栄養調査(※2)」によると、食塩摂取量の平均は成人男性が10.9g、成人女性は9.3gと、基準を大幅に超過しているのが現状です。 塩分の過剰摂取は高血圧や心臓病、脳血管疾患などのリスクを高めるため、現在疾病がない方も塩分の摂取量には気を付けなければなりません。 そこで本記事では、減塩するための工夫を「食材・食事の選択」「調理方法」「食べ方」の3つに分けて紹介します。

※1.出典元:日本人の食事摂取基準(2020 年版)|厚生労働省
※2.出典元:令和元年国民健康・栄養調査|総務省統計局・独立行政法人統計センター

■この記事でわかること

  • ・食材・食事の選択による減塩の工夫
  • ・減塩するための調理方法の工夫
  • ・食べ方でできる減塩の工夫
 

【減塩の工夫1】食材・食事の選択

【減塩の工夫1】食材・食事の選択

減塩するには、まず、食材や食事の選択が重要です。どの食材や食事に多く塩分が含まれているのか、何に気を付けるべきなのかといった基礎知識を持っておくと、無理なく減塩生活が送れるでしょう。

 

減塩食品・塩分量の少ない商品を選ぶ

消費者庁(※)によると、日本人が摂取する塩分のうち、7割が調味料から摂られています。つまり、調味料の使用量や選び方によって塩分摂取量を抑えられるのです。味噌やしょうゆなどは使用量も多くなるため、減塩商品に変更すると、効率良く塩分摂取量が減らせます。

めんつゆやマヨネーズは比較的塩分が少ないため、上手に活用しましょう。例えば冷奴にかける調味料をしょうゆからめんつゆに変えると、塩分を1.1g減らせます。(大さじ1をかけた場合)

そのほかにも、酸味のあるウスターソースやケチャップ、ポン酢しょうゆも比較的塩分が少ないため、減塩食におすすめです。

【主な調味料の大さじ1杯、小さじ1杯当たりの食塩量】(※)

調味料 大さじ1杯(15ml) 小さじ1杯(5ml)
顕粒だし 3.9g 1.3g
うす口しょうゆ 2.9g 1.0g
濃口しょうゆ 2.6g 0.9g
米みそ 2.2g 0.7g
麦みそ 1.9g 0.6g
ウスターソース 1.5g 0.5g
めんつゆ(ストレート) 0.5g 0.2g
マヨネーズ 0.3g 0.1g

※出典元:栄養成分表示を使って、あなたも食塩摂取量を減らせる|消費者庁

監修者コメント

醤油や味噌など塩分が多い調味料は、減塩タイプに置き換えるのもおすすめです。スーパーでも購入でき、減塩生活に役立てられるでしょう。

 

加工食品はなるべく避ける

加工食品は保存性や食味を高めるために、塩を多く使用しています。なかでもかまぼこ、ちくわ、ハム、ウインナーなどは塩分が多い食品です。これらの食品はなるべく避けるか、食べる頻度や量を減らしましょう。

加工食品を食べる際には、料理前にサッと茹でると、少しだけ塩分を減らすこともできます。また、減塩タイプの商品を取り入れるのもおすすめです。健康志向の高まりからスーパーでも減塩の加工食品が多く取り扱われているので、積極的に選ぶとよいでしょう。

 

旬・新鮮な食材を選ぶ

旬の食材や新鮮なものを選ぶのもひとつの手です。これらの食材は風味や食感がよく、うま味も強いので、薄味でもおいしく味わえます。四季を感じられる食材を取り入れることで、食事の楽しみが増すこともメリットです。

また、貝類やきのこ類などうま味の強い食材を併用すると、少ない塩分でもおいしく仕上がります。調理の詳しいテクニックは後ほどお伝えします。

 

外食時には「栄養成分表示」のある店舗を選ぶ

外食メニューは万人受けする味付けを目指しているため、家庭の料理よりも塩分摂取量が多くなります。さらに外食メニューには塩分量が表示されていないことも多く、気付かないうちに過剰摂取になりがちです。

そこで、エネルギー量や栄養成分値を示した「栄養成分表示」がある店舗を選ぶと、塩分の高いメニューを避けやすくなります。最近では自治体のホームページで栄養成分表示のある店舗を確認できるため、外食時にはチェックするとよいでしょう。

また、スーパーやコンビニで弁当や惣菜を購入する際も、栄養成分表示を確認し、塩分が少ないものを選ぶよう意識しましょう。

コンビニ食で減塩する4つのコツ|食塩相当量の目安などを紹介
外食で減塩をする5つのコツ|塩分の多いメニューや摂取目安を紹介

 

宅配弁当・食事サービスを活用する

自炊できる環境がない、外食が多くなりがちといった理由により、減塩食に取り組むことが難しい人もいるでしょう。

そこでおすすめなのが、宅配弁当や宅配食事サービスです。調理済みの冷蔵弁当や、冷凍弁当を自宅まで配達してくれるサービスで、減塩食に対応した弁当も取り扱っています。

基本的に管理栄養士が監修しており、塩分だけでなく栄養バランスも考えられたメニューが食べられるとあって、安心できます。「シニアのあんしん相談室」を利用すれば、自宅に配達してくれる宅配弁当や食事サービスを簡単に検索でき、利用開始までがスムーズです。

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【減塩の工夫2】調理方法

【減塩の工夫2】調理方法

減塩食には、調理方法や味付けの工夫が欠かせません。ただ塩分を少なくするのではおいしいと感じられず、減塩食を続けられないからです。

これからお伝えする4つのコツを覚えておくと、薄味でもおいしく仕上がるため、無理なく減塩食が続けられるでしょう。

 

香辛料や酸味を利用する

たんぱく質の摂取量は、以下の量を目安にしましょう。

香辛料や酸味などパンチのある味を足すと、薄味でも食欲が増します。とくに味が淡白な食材は塩分を多く使いやすいため、香辛料や酸味で補うとよいでしょう。例えば、ただ鶏肉を焼くだけよりも、カレー粉を振って味にメリハリをつけると、少ない塩でもおいしく感じられます。

ただし、香辛料や酸味は使いすぎるとおいしく感じられないこともあります。とくに高齢者は、ハーブなどなじみのない味付けにすると箸が進まないケースもあるため、嗜好に合わせて使い分けてください。

<香辛料の一例>

  • ・ブラックペッパー
  • ・カレー粉
  • ・唐辛子
  • ・パセリ
  • ・バジル
  • ・ゴマ
  • ・青じそ
  • ・ねぎ
  • ・にんにく
  • ・しょうが
  • ・みょうが
  • ・わさび
  • ・辛子
 

<酸味の一例>

  • ・レモン、ゆず、すだちなどの柑橘類
  • ・お酢
 

だしのうま味・油のコク・香ばしさを利用する

塩分を減らすのであれば、だしのうま味、油が持つコク、香ばしさを利用しましょう。

昆布、かつお、しいたけなどはうま味成分が強く、だしを取る材料として最適です。薄味でも味に深みやまろやかさが出て、おいしく食べられるでしょう。これらの食材はだしとして利用するだけでなく、料理に混ぜ込んだりトッピングしたりすると、うま味や風味を追加できるのでぜひお試しください。

ごま油やオリーブオイルなどの、風味がよい油を料理に使うと、薄味でも満足度が高まります。さらに肉や魚などに焼き目を付けて香ばしさを出すテクニックを使うと、塩分を控えてもおいしく感じられます。バーナーで炙るのもよいでしょう。

監修者コメント

だしは1種類だけ使用するより、複数を掛け合わせてみましょう。うま味の相乗効果により、おいしさがアップします。
例:昆布×かつお、しいたけ×昆布 など

 

1品は普通の味付けにしてメリハリをつける

すべての料理を薄味にすると物足りなさを感じやすくなります。主菜など1品を普通の味付けにし、副菜の塩分を控えるなど料理全体でメリハリをつけると、おいしく食べられます。

>塩は必要ですが、過剰に塩分を減らすと長続きしません。継続してはじめて効果を発揮するため、どれか1品でも味がしっかりしていると、無理なく減塩食を続けられるでしょう。

 

違う食感・調理法を組み合わせる

通常の食事でも同じことが言えますが、違う触感や調理法を組み合わせるのがおすすめです。

例えば、すべて煮物にすると食感や味付けが似通ってしまいますが、主菜を煮物にして副菜を炒め物にすると、食感と味付けに違いが出るので箸が進みやすくなります。

食材の持つ食感と、さまざまな調理法を組み合わせることで、味の物足りなさをカバーできるので、食材や調理法にバリエーションを持たせるとよいでしょう。

<香辛料の一例>

  • ・シャキシャキ
  • ・ふわふわ
  • ・サクサク
  • ・しっとり
  • ・もちもち
 

<調理法の一例>

  • ・蒸す
  • ・茹でる
  • ・焼く
  • ・炒める
  • ・揚げる

【減塩の工夫3】食べ方

【減塩の工夫3】食べ方

食べ方のポイントを押さえることも、減塩食を続けるうえで大切です。ここでは家庭や外出先での食べ方の工夫を紹介します。すぐに実行できる内容ですので、ぜひ今日から取り入れてみてください。

 

汁物は1日1回までにする

食事に汁物が欠かせない方もいると思いますが、塩分が多いので1日1回までにするとよいでしょう。例えばみそ汁には1杯あたり2g(※)の塩分が含まれています。3食すべてにみそ汁をつけると、それだけで1日の塩分量を摂取することになってしまいます。

また、汁物を飲む際は具だくさんにして、汁の量を減らすと塩分量も減らせます。野菜をたっぷり入れると、噛みごたえがあって満足できるでしょう。あわせてうま味の強いきのこ類や貝類を一緒に入れると、汁物の塩分を減らせます。

※出典元:「塩の量」を減らすには?|米子医療センター

 

調味料は「かけない」で「つける」

減塩における調味料の鉄則は、かけずにつけることです。刺身や寿司は醤油を直接かけず、小皿に入れてつけながら食べましょう。ただし、小皿に調味料を多く入れると食べ物に絡む量も増えるため、少しずつ入れるのもコツです。食べ物にべったり調味料を絡めず、先のほうにちょっとだけつけるよう意識すると、さらに塩分が控えられます。

サラダのドレッシングはつけながら食べるのは難しく、かけたほうが味も絡んでおいしくなるため、かけすぎに注意するか、減塩ドレッシングを利用するとよいでしょう。もしくは塩分の少ないマヨネーズやシーチキンなどで、コクや味わいを追加するとおいしく食べられます。

 

食卓に調味料や常備菜を置かないようにする

食卓に塩・醤油といった調味料や、常備菜(ご飯のお供)を置かないようにするのも、ひとつの方法です。目の前に調味料があるとつい足したくなるため、食卓には置かないようにしましょう。置く習慣のある方は、まずは食卓から片付けることから始めてみてください。

とくに、ふりかけや漬物、佃煮などの味の濃い常備菜は、手が届きやすい位置に置くと塩分摂取量が増える原因となります。常備菜を食べる際は小皿に少しだけ出して、食べ過ぎに注意しましょう。

 

麺類や料理の汁・つゆは残す

麺類や煮物の汁には、塩分が多く含まれています。例えばインスタントラーメンの場合、麺と薬味に塩分が約2g含まれており、スープには約4g含まれています。飲み干すと約6gもの塩分を摂取することになるため、スープを残すと減塩効果が高まるのです。

つけ麺の場合は麺につける量を控え、スープも飲み干さないようにしましょう。天丼や牛丼のようにつゆが染みたご飯には塩分が多く含まれているため、ご飯を残すことも減塩につながります。残すことに抵抗がある場合は、つゆを少なめにしてもらうようオーダーするのもおすすめです。

 

外食や弁当を利用する際は漬物を残す

一般的に漬物には塩分が多く含まれているため、外食やお弁当の漬物は残しましょう。出されることの多い漬物の食塩相当量は以下のとおりです。

<10~20gあたりの塩分量(※)>

  • ・梅干し       :1.8~3.6g
  • ・きゅうり(ぬか漬け):0.5~1.1g
  • ・ザーサイ      :1.4~2.7g
  • ・たくあん(塩押し) :0.3~0.7g
  • ・野沢菜(塩漬け)  :0.2~0.3g
  • ・キムチ       :0.3~0.6g

上記のとおり、漬物などは塩分量が多いため、食べる場合はほかの食事の塩分量を下げる必要があります。そうすると、食事の量を減らす必要がでてきて、食事全体の満足度が低くなってしまうでしょう。

例えば、きゅうりのぬか漬けは、10~20gあたり0.5~1.1gの塩分が含まれています。これは、きんぴらごぼう100gあたりの塩分と同等です。

とくに梅干しは漬け方にもよりますが、1個食べるだけで1.8gもの塩分を摂取します。また、キムチや浅漬けは比較的塩分が少ないですが、食べ過ぎてしまわないよう注意しましょう。

※出典元:食品成分データベース|文部科学省

 

カリウムが豊富に含まれている食材を摂取する

塩分を控えるのと同時に、カリウムを含む食材を摂取しましょう。カリウムは余分な塩分を体外に排出する役割があるため、減塩食に取り組んでいる方は積極的に摂取するのが望ましいとされています。カリウムは野菜や果物に多く含まれており、水にさらすと溶け出す性質を持つので、生で食べると効率良く摂取できます。

ただし、腎臓病など腎機能が低下している方は、カリウムの摂取を控えなければなりません。腎機能の方は医師や管理栄養士に相談することをおすすめします。

減塩の工夫【まとめ】

日本人は塩分摂取量が摂取基準よりも多いため、食材や調理法、食べ方などを工夫して減塩することで健康維持につながります。一時的に厳しく減塩しても健康に結びつきにくいため、無理なく長期間減塩することが大切です

自分では減塩の工夫ができない場合や、自炊が難しい場合は宅配食事サービスを利用するとよいでしょう。管理栄養士が考案しているため、塩分の調整はもちろん栄養バランスも考えた食事が摂れ、健康的な食生活が送れます。自宅周辺の宅配食事サービスを調べたいときは「シニアのあんしん相談室」の利用がおすすめです。

宅配食事サービスも上手に利用しながら、おいしく無理なく減塩生活を続けましょう。

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監修者コメント

現在高血圧などの持病を抱えていない方でも、食塩を過剰摂取する生活を続けると発症するリスクが高まります。高血圧になってから減塩するよりも、いまのうちから減塩を心掛けることで健康的な生活が送れます。他人事とは思わず、気付いたその日から減塩をするとよいでしょう。


 

監修

相田すみ子

相田すみ子

寮生の栄養管理、老人保健施設、内科・整形外科などで経験を積んだ後、フリーの管理栄養士兼ライターとして活動。

今日より少し健康になれるレシピを開発したり、体と栄養の関係について多くの人に伝えたりするために、コラム執筆、本の執筆協力などを行っている。

note:https://note.com/sumiko_16

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