【介護食】ソフト食(やわらか食)とは|作り方やレシピと購入方法について解説!
介護食を探している人の中には、「ソフト食」に興味を持っている人も多いのではないでしょうか? ソフト食とは、かみやすく調理された食事のことで、「やわらか食」とも呼ばれています。本記事では、ソフト食の作り方、具体的なレシピ、ソフト食を購入する方法などについてお伝えします。介護用に食事を探している人、または忙しくて介護食を作る時間がない人に役立つ情報をお伝えしますので、ぜひチェックしてみてください。
【ソフト食(やわらか食)とは】
ソフト食(やわらか食)とは、歯茎、または舌と上顎だけで簡単に食べられる食事のことです。具体的には、ミキサーや裏ごし器で食材をつぶしたり、茹でたりした後、そのやわらかくなった食材をゼラチンなどで固め直し、元の食材の形に近づけた食事のことを指します。
ソフト食と似た介護食としては、「ミキサー食」「きざみ食」が挙げられ、それぞれ次のような違いがあります。
介護食 | 特徴 | 食事例 |
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ソフト食 (やわらか食) |
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ミキサー食 |
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きざみ食 |
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ソフト食(やわらか食)のメリット
ソフト食には、次のようなメリットがあります。
- ・かむ力が弱くても食事ができる
- ・誤嚥(ごえん)のリスクが少ない
- ・食欲が湧きやすい
ソフト食を作る際には、あらかじめ食材をやわらかく調理しておきます。そのため、かむ力が弱い人でもスムーズに飲み込むことができ、食べ物が口の中でまとまりやすいので、誤って気管(気道)に入ってしまうリスクを防ぐこともできます。
また、食欲が湧きやすい点もメリットです。例えば、ソフト食で「焼き魚」を作る場合、まずは魚をすり身にしてから、それを焼き魚に近い形に整えることで、通常と変わらない見た目で食事を楽しむことができます。
ソフト食(やわらか食)のデメリット
ソフト食のデメリットは、以下の通りです。
- ・調理に手間が掛かる
- ・食材費などのコストが掛かる
- ・食材本来の食感を楽しみにくい
ソフト食を作る際は、食材をペースト状にするだけでなく、それを固め直すといった工程が必要です。そのため、他の介護食と比べると、調理に手間が掛かってしまいます。そして、食材を固める際には、ゼラチンや寒天などの「ゲル化剤」が必要です。調理の度にゼラチンなどを使うことになるので、食材費もかさんでしまいます。また、見た目こそ通常の食事と似ていますが、やわらかく調理している分、歯応えが異なります。そのため、見た目と食感とのギャップから、食事を楽しめない人もいるかもしれません。
ソフト食(やわらか食)を必要とする人
ソフト食は、食事をうまく飲み込めない人が必要とする食事です。主に高齢者に必要とされており、中でも次のような人に向いています。
- ・かむ力が弱っている人
- ・飲み込む力がない人
- ・食べ物をまとめる力が低下している人
ソフト食は、口の中で簡単に押しつぶすことができます。そのため、たくさんかむ必要がなく、さらには、飲み込みやすい形に調理されているので、誤って気道に入ってしまうリスクも少なく、安心です。また、「食事を楽しみたい」という人にも向いている食事であるといえるでしょう。例えば、「ペースト状の食事はちょっと…」と抵抗を感じる人でも、通常の食事に近い形に整えられたソフト食であれば食欲が湧き、毎回の食事を楽しめる可能性があります。
【ソフト食(やわらか食)を用意する方法】
ソフト食を用意する方法としては、次の3つが一般的です。
- ・食材を買ってきて自宅で作る
- ・ドラッグストアやスーパーマーケットなどの実店舗でレトルトタイプを購入する
- ・インターネットで宅配弁当などを購入する
自宅で作る場合は、ソフト食に向いている食材を選ぶことが大切です。食材によっては不向きなものもあるので、買い物の際には食材選びに注意しましょう。
レトルトタイプは、おかずごとにパウチされているので、毎日の食事に一品足したいときなどに重宝します。宅配弁当は、1食分をパパっと用意できるので、時間のない人でもソフト食を手軽に用意できる点がメリットです。
なお、それぞれにはメリット・デメリットがあるため、介護する側、介護される側の希望に合わせた方法を選択することが大切です。ソフト食をどうやって準備すればいいのか悩んでいる人は、ぜひチェックしてみてください。
食材を買ってきて自宅で作る
食材を買ってきて自宅でソフト食を作るメリット・デメリットは、次の通りです。
メリット |
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デメリット |
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ソフト食を自分で作る場合は、調理に向いている食材を選ぶようにしましょう。向いていない食材を選ぶと、飲み込みづらかったり、調理に時間が掛かったりしてしまいます。食材を選ぶ際は、以下を参考にしてみてください。
<ソフト食に向いている食材>
- ・繊維質の少ない野菜(ニンジン、トマトなど)
- ・肉や魚の脂肪が多く含まれている部分
- ・豆腐(木綿豆腐、絹ごし豆腐など)
<ソフト食に向いていない食材>
- ・繊維質の多い野菜(アスパラ、ゴボウなど)
- ・歯応えのある野菜(キャベツ、レタスなど)
- ・肉や魚の赤身部分
ドラッグストアやスーパーなどの実店舗でレトルトタイプを購入する
ドラッグストアやスーパーマーケットの中には、レトルトタイプのソフト食を販売しているところもあります。レトルトタイプは、おかず1種類ごとに専用のパウチに入っていることが特徴で、調理済みのためそのまま食べられる他、湯せんや電子レンジで温めることもできます。レトルトタイプのメリット・デメリットは、次の通りです。
メリット |
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デメリット |
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なお、レトルトタイプのソフト食は、通販でも購入することができます。商品を検索する際には、「ソフト食(やわらか食)」といった表記だけでなく、「歯茎でつぶせる」「舌でつぶせる」などの表記で書かれていることも多いので、こうしたサイトのサービスを使うと、よりピンポイントでほしい商品を探すことができるでしょう。
インターネットで宅配弁当などを購入する
インターネットで「宅配弁当」などを購入するのも、一つの方法です。レトルトタイプは、1品ごとにパウチされていますが、宅配弁当の場合は、複数のおかずがパックされた状態で届きます。より手軽にソフト食を用意したい人は、ぜひ検討してみましょう。宅配弁当のメリット・デメリットは、次の通りです。
メリット |
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デメリット |
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「あんしん相談室」では、次のような宅配サービスを紹介しています。どちらも栄養士監修のため、安心してお召し上がりいただけます。
【ソフト食(やわらか食)の基本の作り方】
ソフト食(やわらか食)の基本的な作り方について、紹介します。
- 1.まずは、通常の食事を作る
- 2.具材ごとにミキサーにかける、または加熱してすりつぶす
- 3.細かくなった具材に「ゲル化剤」(ゼラチンや寒天など)を加える
- 4.鍋に移して火を付け、固まり始めたら容器に入れて冷やす
- 5.冷えた具材を好みの形に整え、皿に盛る
ソフト食を自宅で作る際は、かみやすさ、飲み込みやすさを意識し、調理することが大切です。具体的には、次のポイントを踏まえることで、より食べやすいソフト食を作ることができるでしょう。
- ・加工しやすい食材を選ぶ(繊維質の少ない野菜や豆腐などを使い、かみやすくする)
- ・とろみを付ける(片栗粉などを使い、飲み込みやすくする)
- ・「つなぎ」を使う(卵や油を使い、食材を口の中でまとまりやすくする)
肉を使ったソフト食のレシピ
肉を使ったソフト食を作る際は、次のポイントについて意識しましょう。
- ・適度に脂身のある肉を選ぶ
- ・赤身を使うときは筋(すじ)を切ってやわらかくする
【肉じゃがの作り方】
- <材料>(5人分/g)
- ・牛モモ肉:150g
- ・酒:5g
- ・サラダ油:10g
- ・ジャガイモ:250g
- ・タマネギ:100g
- ・糸コンニャク:50g
- ・ニンジン:50g
- ・さやいんげん:25g
- ・砂糖:10g
- ・濃口しょうゆ:10g
- ・薄口しょうゆ:15g
- ・みりん:10g
- ・酒:10g
- ・だし汁:500g
- ・水:食材と同量
- ・ミキサーゲル:全体重量の1.5%
- ・トローミファイバー:適量
- <作り方>
- 1.通常通り、肉じゃがを作る
- 2.食材ごとに汁気を取る
- 3.50℃くらいに温めた水に、刻んだ牛モモ肉を入れてミキサーにかける
- 4.ミキサーゲルを混ぜて3分待つ。その後10秒かき混ぜて、冷ます
- 5.他の食材も3~4と同じ手順で調理する(※ジャガイモと糸コンニャクは一緒にかき混ぜると時短につながる)
- 6.煮汁にとろみを付け、完成した肉じゃがにかける
魚を使ったソフト食のレシピ
魚を使ったソフト食を作る際には、次のポイントについて意識しましょう。
- ・脂身の多い魚を選ぶ
- ・魚の骨は丁寧に取り除いておく
【煮魚の作り方】
- <材料>(5人分/g)
- ・赤魚:300g
- ・塩:1g
- ・酒:10g
- ・砂糖:10g
- ・濃口しょうゆ:20g
- ・みりん:20g
- ・酒:20g
- ・だし汁:200g
- ・水:食材と同量
- ・ダイコン:100g
- ・ニンジン:50g
- ・さやいんげん:25g
- ・水:食材と同量
- ・ミキサーゲル:全体重量の1.5%
- <作り方>
- 1.魚はあらかじめ煮ておいた上で、汁気を取っておく(※骨なしの魚を使うと骨抜きの手間を省ける)
- 2.50℃くらいに温めた水に魚を入れ、ミキサーにかける
- 3.ミキサーゲルを混ぜて3分待つ。その後10秒かき混ぜて、冷ます
- 4.ダイコン、ニンジン、さやいんげんも2~3と同じ手順で調理する
- 5.魚と野菜を盛り付ける。煮汁にだし汁を加え、とろみを付けて魚にかける
野菜を使ったソフト食のレシピ
野菜を使ったソフト食を作る際には、次のポイントについて意識しましょう。
- ・野菜は繊維に向かって直角に切る
- ・しっかりと皮をむいておく
【カボチャコロッケの作り方】
- <材料>(5人分/g)
- 豚ひき肉:100g
- タマネギ:100g
- サラダ油:10g
- カボチャ:200g
- コンソメ:2.5g
- 塩:1.5g
- コショウ:少々
- スキムミルク;25g
- マヨネーズ:15g
- 小麦粉:25g
- 卵:25g
- パン粉(二度びき):30g
- サラダ油:適量
- 水:食材と同量
- ミキサーゲル:全体重量の1.5%
- キャベツ:150g
- トマト:75g
- だし汁:300g
- 砂糖:10g
- ウスターソース:15g
- トマトケチャップ:15g
- 濃口しょうゆ:10g
- トローミファイバー:適量
- <作り方>
- 1.通常通り、カボチャコロッケを作る
- 2.50℃位に温めた水に、細かく刻んだコロッケを入れてミキサーにかける
- 3.ミキサーゲルを混ぜて3分待つ。その後10秒かき混ぜて、冷ます
- 4.キャベツやトマトも2~3と同じ手順で調理する
- 5.器に盛り、ソースをかける
【まとめ】
ソフト食(やわらか食)は、かむ力が低下している人、飲み込む力が弱ってきている人に最適な食事の一つです。口の中で簡単につぶせるだけではなく、見た目も通常の食事と似ているので、食欲増進にもつながります。
一方で、いざ自分で作るとなると、食材に気を付けなければならなかったり、調理に手間が掛かったりと、デメリットを感じることもあるでしょう。こうした場合は、レトルト商品を買ってみたり、お弁当の宅配サービスを使ってみたりするのもおすすめです。特に、宅配弁当は1回の食事を気軽に用意でき、栄養バランスを考慮されたものが多いため、「忙しい中でも安心のソフト食を準備したい」と考えている人にとっては、ぴったりの方法であるといえるでしょう。